会社設立と現物出資

会社設立と不動産を目的とする現物出資

会社設立にあたって不動産を出資の目的とする場合があります。通常は金銭を出資の目的としますが、会社法は不動産を目的とすることを認めています。しかし、不動産は金銭と異なり、専門家による鑑定によらなければ客観的な価値を把握するのが難しく、無制限に出資することができるとすると、会社に損害を与える危険性があります。では、会社設立にあたり不動産はどのように扱われるのでしょうか。

まず、現物出資の目的となる場合があります。現物出資とは金銭以外の財産による出資をいい、出資財産の給付として財産の引渡しあるいはその財産の登記や登録に必要な書類の引渡し等を行わなければなりません。しかし、会社設立前には会社名義で登記や登録を行うことができない場合があるため、発起人全員の同意を得ることで登記や登録を会社成立後に行うこともできます。現物出資では目的物が過大に評価され不当に多くの株式が与えられる危険性があり、この場合金銭出資をした他の株主との間で不公平にあることや、会社債権者を害するおそれがあります。そこで、現物出資を行うには、現物出資者の氏名、出資の目的である財産、その価額、その者に対して割り当てる株式の数を定款に記載することが必要となります。
また、現物出資を行うには、原則として検査役による調査が必要となります。発起人は公証人による定款の認証がなされた後遅滞なく裁判所に検査役の選任を申し立てなければなりません。選任された検査役は出資財産が定款に記載された価額に相当する価値を現実的に有しているのかどうかを調査して、調査の結果を書面等により裁判所に報告します。同じ書面等が発起人にも提供されます。裁判所は現物出資を不当であると認めたときにはこれを変更する決定を行うことになります。

発起人は裁判所による定款変更に不服がある場合には、1週間以内に限って株式の引受けの意思表示を取り消すことができます。その場合、発起人全員の同意により、1週間以内に限って現物出資についての定款規定を廃止する旨の定款変更を行うことができ、会社設立手続を続行することができます。

このように、会社設立にあたって不動産は会社法上特殊な取り扱いとなっており、会社設立手続を進める際には注意が必要です。
特に、不動産の価値が定款記載の価額に著しく不足する場合には、発起人等は不足額を会社に支払う義務を負う可能性があり、手続を誤るとその後の事業活動に支障が生じるおそれがあるため、慎重になる必要があります。